今回ご紹介するのはコンビネーションのレディースシューズ。
使用する革は、以前に購入した『撥水ヌバック』(キャメル)とホワイトのコンビネーション・・・。
ブローグ仕様でピンキング(ギザ抜き)を施し・・・、
飾り穴もいわゆる単調な“親子穴”ではなく、#2、#5、#8、#10、#12、更に7㎜幅の大小6種類の穴を組み立てた、変則的なデザインで進めております。
また、ひも穴は2つ、小さな羽根がヨーロピアンテイストなデザインです。
外羽根の場合、ひも穴が5~6つだと無骨なイメージになりますが、レディースということで華奢な感じのイメージで・・・。
当初、ベロは写真の様に“切り返し”(別々に裁断しミシンで縫い上げる)で進めておりましたが、やはり羽根が小さいとどうしても接続部が丸見えとなって目立ってしまいます。
取り敢えず縫い合わせて軽く吊り込んでみましたが、やはり羽根では隠しきれず・・・、
どうしたものかと・・・。
更に吊り込んでみて気づいたのですが、使用しているヌバックの繊維が粗いのか、革が伸びる伸びる・・・。
外羽根の場合、ひも穴の数が少ないデザインだと“トップライン”と呼ばれるいわゆる『閂(かんぬき)』の位置がかなり後部寄り(履き口近く)になります。※逆にひも穴が多いイングリッシュスタイルの場合、トップラインは前部(つま先)寄りになります。
後者の場合、木型の甲のせり上がり位置とトップライン位置が近いので、つり込み作業は比較的楽になるのですが、前者は逆に吊り込み作業が難しく、モノによっては力業でのつり込みとなります。
上部で堅牢な革であれば、水で濡らしたり、時間を掛けて吊り込むことでなんとか解決できるのですが、今回のようなコンビではチョット無理があるかな、と・・・・。
甲部がヌバックでサイドがホワイトの革(ホワイトの革は通常の堅さの革)なら大丈夫なのですが、吊り込む革が伸びて、甲の革迄力が及ばない為、皺が消えないという問題が出てきてしまいます。分かるかな・・・。
ということで、一枚で切り出し、予め癖付け(クリッピング)をして進めることに・・・。
こんな感じで、縫製前に革に癖付けをすることになります。
今回は水で濡らして木型に癖付けをしましたが、革によっては水で濡らすと変色したりするものもあるので、使用する革の質をよく理解し、うまく組み合わせることがとても重要です。
なにもそんな面倒な革を使わなくても・・・、とお思いでしょうが、革の色や質感の好みは人それぞれ・・・。そりゃ高くて高品質の革だけ使っていれば上記のような問題は少ないでしょうが、どうしてもカラーバリエーションが限られます。またコストも上がりますし・・・。
廉価な革でも好きな色や質感というものはあるもので、状況に応じて工夫をすれば、どんな革でも靴にできることを目指しております。
ということで、軽く吊り込んでみましたが、何とか問題は解決できそうです。
因みに今回は、ミシンステッチにも“チェーンステッチ”を施してみました。
これ、よくよく見ないと気付かれないような細かなこだわりですが、超~面倒です。
動画で縫製の様子を撮影しましたので、後日インスタでその様子をアップします。
興味のある方は是非チャレンジしてみて下さい。
※インスタ動画はこちら➭インスタ動画『ミシンでチェーンステッチを掛けてみる』