これまで、ブーツ等で“袋ベロ”の靴を作ったことはありましたが、今回は“JM Weston ”や“Tricker’s”等でたまに見かける、短靴(ダービー[derby])バージョンで作成してみようかと・・・。
因みに“袋ベロ”というのは、靴の中に異物(砂や小石)などが侵入するのを防ぐため、蛇腹式の仕様になっているベロのことです。
これまで作成してきた生徒さんの靴でのパターンを見てみると・・・、
![袋ベロ(モカシンver.)Ⅰ](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/194_3.jpg)
袋ベロ(モカシンver.)Ⅰ
とか・・・、
![袋ベロ(モカシンver.)Ⅱ](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/217_thumb.jpg)
袋ベロ(モカシンver.)Ⅱ
このような、いわゆる“モカシン(Moccasins)”パターンがひとつ・・・。
※上の写真のモカシンブーツ制作風景はこちら➭http://sakaiworks.sblo.jp/article/114555351.html
また、カントリーorマウンテンブーツ等で見かける、
![袋ベロ(マウンテンブーツver.)Ⅰ](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/278_7.jpg)
袋ベロ(マウンテンブーツver.)Ⅰ
こんなのや、
※上の写真のマウンテンブーツ制作風景はこちら➭http://sakaiworks.sblo.jp/article/175390537.html
![袋ベロ(マウンテンブーツver.)Ⅱ](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/8a0d09380760357b8953db36dfb1ad50.jpg)
袋ベロ(マウンテンブーツver.)Ⅱ
のような感じのパターン・・。
※上の写真のマウンテンブーツ制作風景はこちら➭http://sakaiworks.sblo.jp/article/176886954.html
因みに、上の写真のブーツの型紙は、
![袋ベロ(マウンテンブーツver.)Ⅱ 型紙](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/b72c54e0229fda9cb6f674ec1fabb403.jpg)
袋ベロ(マウンテンブーツver.)Ⅱ 型紙
こんな感じで、至ってシンプルな構造です。
更には、
![袋ベロ(ライダーブーツver.)Ⅰ](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/307_4.jpg)
袋ベロ(ライダーブーツver.)Ⅰ
この様な、ライダーブーツ等でもよく見かけます。
※上の写真のライダーブーツ制作風景はこちら➭http://sakaiworks.sblo.jp/article/177774067.html
因みに、上の写真のライダーブーツ作成途中(吊り込み前)はこんな感じで・・、
![袋ベロ(ライダーブーツver.)Ⅱ](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/49a4ef1732e79d0f9076619b7d4c1254.jpg)
袋ベロ(ライダーブーツver.)Ⅱ
ちょっと間抜けな感じです。
こうしてみてみると、モカシンは別としてアクティブなシーンで活躍する靴に多いようです。
別にアクティブな環境を想定しているわけでは無いのですが、
“これまでに作ったことが無い・・”
というのがなんとなく気持ちが悪かったので、今回は自分用に作ってみようということにしました。
こちらが、アッパー型紙・・。
![ダービー袋ベロ 型紙Ⅰ](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/1cddd112f242934c440dee490a17f1da-1024x683.jpg)
ダービー袋ベロ 型紙Ⅰ
こちらも至ってシンプルなのですが、非常に効率的な革の採り方というか、合理性のある作りだなぁ・・と。
昔の人って、ほんと賢いな~と感心しながら作っております。
![ダービー袋ベロ 型紙Ⅱ](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/caaacb70214b64bcd893464f7d0a057c-1024x683.jpg)
ダービー袋ベロ 型紙Ⅱ
でもって、こちらはライナーと“袋ベロ”の型紙となります。
![ダービー袋ベロ アッパー裁断](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/98e29bf5cd4f09ddfd3964ac01f2967b-1024x683.jpg)
ダービー袋ベロ アッパー裁断
早速アッパーを裁断し、羽根部分を縫製・・。
![ダービー袋ベロ アッパー縫製](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/68654fdb7faf402bf03f60b8a51d704a-1024x683.jpg)
ダービー袋ベロ アッパー縫製
今回はいわゆる“平縫い”ではなく、ミシンの難易度が高い“縫い割り”にて仕上げてみました。
“内カーブ”と“外カーブ”でラインが正反対のモノを縫い上げるので、なかなか難しい縫製技術です。
![ダービー袋ベロ 履き口パイピングⅠ](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/ea673883043a5f15604ba3a8a5696950-1024x683.jpg)
ダービー袋ベロ 履き口パイピングⅠ
今回、履き口は“パイピング”にて仕上げてみました。
![ダービー袋ベロ 履き口パイピングⅡ](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/2710d76a498a44446b0192de6463759f-1024x683.jpg)
ダービー袋ベロ 履き口パイピングⅡ
パイピング後、ライナーの腰革部分のみ貼り付け・・・、
![ダービー袋ベロ ベロ部分下処理](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/b388847f2b737c44f802c1f11565c7e4-1024x683.jpg)
ダービー袋ベロ ベロ部分下処理
“袋ベロ”の下処理をします。
“閂(かんぬき)”位置がズレない様、様々な位置を慎重に描き写しておき・・・・、
![ダービー袋ベロ ライナー縫製Ⅰ](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/8fc1300704db04c5cbcbdf2e2fa0242b-1024x683.jpg)
ダービー袋ベロ ライナー縫製Ⅰ
ライナー(甲)パーツもやはり位置を慎重に確認しながら仮止めし・・・、
アッパーと“袋ベロ”、更にはライナー(甲)を一気に縫い上げます。
![ダービー袋ベロ ライナー縫製Ⅱ](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/a67f1a12eee024314b63c34162f66d90-1024x683.jpg)
ダービー袋ベロ ライナー縫製Ⅱ
ステッチを見るとお分かりだと思いますが、絶妙な位置で両サイドのみ縫われており、なかなか計算された構造になっています。
※ライナーが一部青いのは、端革で余っていて勿体なかったので・・・、どうせ見えないし、自分用なので・・・。
アッパー側からだと、こんな感じになります。
![ダービー袋ベロ ライナー縫製Ⅲ](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/402c8afa1ff809e2549b24f0c306e25b-1024x683.jpg)
ダービー袋ベロ ライナー縫製Ⅲ
後は、履き口周りアッパーとライナーを一気に縫い上げ・・・、
![ダービー袋ベロ アッパー・ライナー縫製Ⅰ](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/57d8690e51670ba68d984c27fe194be4-1024x683.jpg)
ダービー袋ベロ アッパー・ライナー縫製Ⅰ
![ダービー袋ベロ アッパー・ライナー縫製Ⅱ](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/365dc754d86242a89eff932b6cfda07a-1024x683.jpg)
ダービー袋ベロ アッパー・ライナー縫製Ⅱ
“イチキリ”で余分な革をさらっていきます。
今回の履き口は“ダブルステッチ”で・・・。
この後、つり込み作業等では写真を撮り忘れてしまったので・・・、
![ダービー袋ベロ ノルウィージャンウエルト製法 掬い縫い](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/05/75031681934993016637c8d39da15c86-1024x683.jpg)
ダービー袋ベロ ノルウィージャンウエルト製法 掬い縫い
一気にここまで進んでしまいました。
尚、今回底付けは『ノルウィージャンウエルト製法』で進めることにしました。
この続きは、改めて“その弐”にてご紹介して参ります。