靴を作成する上で一番最初に行うのが“木型補正”です。
今週は、オーダーブーツの1足分、教室では今月からスタートされる生徒さんの1足分、古株の生徒さんで次作は木型を変更する方の1足分と、計3足分の木型補正が重なりました。
まずは、先日オーダーいただいた“レディースブーツ”。
来春、大学を卒業されるお嬢様の就職のお祝いに、というお母さまからのご注文で、早速ご来工いただき、足の採寸です。
![オーダーレディースブーツ採寸表](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/12/6c54a0b95dafb991a69144242ec416a2.jpg)
オーダーレディースブーツ採寸表
で、こちらが足の採寸表・・・。モデルさんの様にスラっとした体形で、足も細いっ!!
因みに市販のレディース靴の場合、同じ足長でもワイズ(足囲)のサイズがA~EEEEの8展開あります。(※因みに男性はA~Gの10パターン)
お店としては在庫を抱えることになるので、ほとんど出ることのないAやEEEE等はほとんど置いていないのが普通です。
足長:245㎜で、足囲:217㎜・・・。今回の数値をJIS規格のサイズ表に照らしてみると、
あら~・・・Aですね・・・。
また、通常あまり見られない足の内側にある骨の出っ張り『有痛性外脛骨』もあり、さぞ靴選びには苦労されてきたことでしょう・・・。
お母さまも交え色々話し合った結果、デザインはブーツスタイルということに決まりました。
ということで、ブーツ仕様での木型補正です。
![オーダーレディースブーツ木型補正1](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/12/dec725de58bcff0964f04a982843354b.jpg)
オーダーレディースブーツ木型補正1
当工房ではセミオーダーの場合、木型補正は工房の木型に床革を貼って補正を行っていきます。
![オーダーレディースブーツ木型補正2](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/12/2447d8bcf80be96d2a5ad16fcf741425.jpg)
オーダーレディースブーツ木型補正2
続いて、先月から新たに靴教室に通っていただいているIさん・・・。毎週金曜の夜、お仕事終わりに靴作りを行っていただくことになりました。
営業のお仕事とのこと、体育会系のかなりガッチリした体形の方で、足長:268㎜、足囲:275㎜・・・、ご本人も、そこそこ甲高という認識のようで、普段は27.5㎝や28.0㎝の靴を購入されているとのことです。
![ロウを使った木型補正1](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/12/fb9d0ad288959a9cc40721c2041978e7.jpg)
ロウを使った木型補正1
仮履き作成の為、取り敢えず左足のみ27.0㎝の木型で補正をしました。
教室の場合は“スピード重視”、柔軟性を持たせる為、特殊なロウを使って補正をしていきます。
![ロウを使った木型補正2](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/12/f4bcec58b1cda8d7b7e7b109b26bd279.jpg)
ロウを使った木型補正2
確かに市販の靴の場合、足囲や甲周りの数値からだと27.5~28.0㎝でやむを得ないと思いますが、そうすると踵(かかと)が緩くなり、十分なフィット感は得られないでしょう。
今回は踵周りの数値も併せ27.0㎝の木型を使い、この様に甲部を中心に補正を行い進めることになりました。
最後に、歴9年目のKさん・・・。
前回使用した靴とは別の木型を使って、新しい靴を作成したいということで、やはりロウを使って木型補正です。
![外反母趾採寸表](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/12/eeb320b51611410b3925228932c8518a.jpg)
外反母趾採寸表
お分かりでしょうか・・・。かなりの外反母趾です。Kさんも靴選びにはいつも苦労をされているようです。
![外反母趾採寸表1](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/12/42989b12f89c047c16164cfbdfe78e1a.jpg)
外反母趾採寸表1
前作の、内羽根ひも靴も外反部分にロウ付けした結果、いい感じで履いていただいているようで、今回はコロンとしたオブリーク型の木型に替え、気軽に履けるバレエシューズを作成するようです。
※因みにKさんの前作の様子はこちら➭靴教室|〇年越しに遂に完成~!
![外反母趾木型補正](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/12/a7367b181178a467eddd3981474890d6-683x1024.jpg)
外反母趾木型補正
ということで、木型補正3連チャンでした。
ついでに、近々で型紙が必要なIさんの型紙作りも簡単にご紹介していきます。
![外羽根型紙作成1](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/12/a841bfc52249840bf509a7d632d7daa3.jpg)
外羽根型紙作成1
補正した木型に中心線を引き、外側と内側の基本ゲージをクラフト紙を使って採っていきます。
![外羽根型紙作成2](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/12/4d391a7e83e97acfd12402d21168a1c2.jpg)
外羽根型紙作成2
中心線に合わせた後、このように底面のエッジにあわせ線を描いていきます。
![外羽根型紙作成3](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/12/b9643b7cd7d24462a39fe6571242632b.jpg)
外羽根型紙作成3
こちらが、外側と内側の基本ゲージ・・・。
この後、この2枚の向きを合わせ、一枚の“マスターゲージ(木型用)”を作成していきます。
このマスターゲージを3枚コピーし、内・外それぞれに切り出したものを、改めて木型に貼り合わせ、靴のデザインを描いてきます。
そのデザインを基に、もう一枚のマスターゲージに㎜単位で正確に正書をしたものが・・・、
![外羽根型紙作成4](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/12/d234b268d690bb3ebcec01c60b72d5f4.jpg)
外羽根型紙作成4
こちらになります。
更に、このマスターゲージ(外羽根デザイン用)を型紙用に『展開』したものが・・・、
![外羽根型紙作成5](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/12/84b83092c7ed2386953375ddd8e130db.jpg)
外羽根型紙作成5
こちらになります。
あとは、それぞれのパーツを切り出し、厚紙に貼り合わせて型紙完成となります。
![外羽根型紙作成6](https://sakaiworks.info/wp-content/uploads/2022/12/a8918386bd35b28d0e6f641c5e6a4553.jpg)
外羽根型紙作成6
これまで、中底作成やミシン練習を行っていただいたIさん・・・。来週からはいよいよ本格的に靴作りに突入となります。