靴学校|靴の型紙作りから始めたいっ!!

靴を作る上で、一番最初に行うのが“木型補正”です。
その後、その木型に併せたゲージを作成し、そのゲージにデザインを描き、更には“展開”といわれる作業を経て、いわゆる“型紙”が出来上がります。
通常“教室”ではこれらの作業は全て私が事前に行い、生徒さんはその出来上がった型紙を基に革を裁断し、靴作りが始まります。
しかし、2足・3足と靴作りを重ねる生徒さんの中には、
“型紙も自分で作ってみたいっ!!”
という方も、少なからずいらっしゃいます。
今回は、最近この“型紙作り”に取り掛かかり始めた方々をご紹介・・・。
まずは歴1年、これまでに外羽根2足を完成させた大学生のMくん・・。

3足目は工房の木型ではなく、専用のマイ木型を購入・・・、気合が入ってます。
木型補正もやってみたい、ということなので、

床革を使って補正・・。片足は私がやって見せ、もう片方をご自身でトライ。

木やすりを使って、ご自身の足に木型を合わせていきます。
BP数値については、こちらで指定したサイズになっておりますので、補正は必要ありませんが、甲部が少し足りないので、今回はその部分のみの補正となりました。

その後、自分で作成したゲージを木型に貼り付け、好きなデザインを描いていきます。
もちろん、お好きなラインを描いてもらいますが、場所によっては決められたルールに従って描かなければいけないライン等もあり、その辺りを描いたり消したりしながら、学んでいただきます。

例えば、外側の踝(くるぶし)の位置等も重要な情報のひとつ・・・。※上の写真の赤い十字印
人によって高低差のある踝に、履き口が当たらないようなラインにしなければなりません。
その後、出来上がった“マスターゲージ”を使って、“展開”といわれる作業を行い、型紙のベースとなる図案をクラフト紙に描いていきます。

出来上がった展開図から型紙を作成し、革を裁断した後に革漉きを行いますが、この革漉きも“教室”では通常こちらで行っております。
“革漉き機”という機械を使うのですが、やはりこちらも初心者の方には少し扱いが難しい為ですが、

“革漉き機の扱いも覚えたいっすっ!!”
とNくん・・・。
も~、欲張りなんだから・・・。

ということで、コツコツ練習中です。

続いてこちらは歴2年目、これまでブーツやサンダル、外羽根等5足の靴を完成させてきたNさん・・。

以前、他の“鞄作り”の教室に数年通っていらしたそうで、バッグ等の型紙はご自身で作成してこられた方・・・。なので、
“かばんの型紙ができれば、靴もできますかね・・・。”
と、やや控えめながらも、意欲満々・・。

やはり、同じく“展開”の作業に没頭しております。

この、展開といわれる作業・・、最初はとにかく体で覚える感じで、何度も繰り返すことがコツといえばコツですかね・・・。
“なんで、こうなるのか?”とか、理屈で理解しようとするよりも、まずはザックリな流れを暗記していただく方が早いと思います。
私自身も昔学校で教えられていた時、同じように理屈で理解しようと思いましたが、経験がない中でその理由を説明されても理解できませんでした。
何足か作ることによって、
“あっ、あの時いってたこのラインの理由ってこういうことか・・・。”
といった感じで、後付けで全然構いません。

こちらが最初に作成していただく靴のデザイン・・・。ホールカットっぽいシンプルなデザインですが、内側に切り返しが付いています。
※ホールカットの靴は実はとても難しいのですが、切り返しが付いたデザインは、型紙作りの基礎を理解するうえで、最もシンプルで分かりやすいデザインだからです。その他、センターシームのデザインでも構いませんが、どちらにするかは生徒さんに選んでいただいています。

最後にご登場のKさん。
歴2年、これまで3足作ってこられましたが、前作ではハンドソーンウエルト製法にも挑戦されました。

また型紙作りも、実はこれで2足目。今回はレザースニーカー(外羽根)仕様の靴を“アウトステッチ製法”にて作成予定です。

今回の外羽根とはいわゆる“トップライン”の位置が異なる、少し特殊なデザインですが、ちょっと応用を利かせただけの流れなので、サクッと型紙を仕上げ・・・、
 

 
あっという間に、仮履きの靴が完成~!
 

 
実際に足入れをして、精度をチェック・・・。
ご自分で購入してきた木型を自身で補正し、更には型紙も自身で引いた、初めての靴・・・。
 

 
感慨もひとしおの様で、なかなか靴を脱ごうとしないKさん。

 
 
<追伸>
と、ここで朗報です。
Kさんが、“外羽根”の展開方法を図解入りで作成してきてくれました。
 

 

 
興味のある方にはコピーをお渡ししますので、お気軽にお声がけください。

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