かばん作りの基本②~腕ミシン“TE-5&TE-6”【上糸編】

第2回目の“鞄づくりの基本”は革用ミシンを取り上げたいと思います。
※第1回目“革の裁断編”はブログ右側カテゴリーの『鞄づくりの基本』からご参照ください。

当教室へ通い始められる方の8~9割の方が、
“ミシンは小学校の家庭科以来、触っていないんですけど・・・”

といった感じです。

日ごろ家庭でミシンを扱っている、という主婦層の方々は比較的早く慣れますが、そうでない方が最初に苦戦を強いられるところがこのミシンの扱いのようです。

ということで、ここから数回に分けてミシンのセッティングの仕方(上糸・下糸の正しい通し方)、実際縫う時の注意点等を写真を使ってご説明していきたいと思います。
長くなりますので、今回は【上糸編】ということで進めていきます。

当教室で、かばん用のミシン(腕ミシン)としておいてあるのが、

こちらの『TE-6B』(窓に向かって一番左端の腕ミシン)

腕ミシンTE-6B解説

腕ミシンTE-6B解説


そして、TE-6のひとつ前の(古い)バージョンとである、
腕ミシンTE-5解説

腕ミシンTE-5解説


こちら『TE-5』の2台です。(窓に向かって右端の腕ミシン)

腕ミシンTE-5解説


『かばん用』と書きましたが、別に鞄専用ということではありません。
縫物(主に革)の厚みが、2.5㎜を超える場合は、主にこちらの“腕ミシン”で縫っていただいてます。
ですので、靴でも『ワークブーツ』等通常よりも厚みのある革や帆布の場合はこちらの方が送りが強く扱いやすいので、こちらで縫うことをお勧めしている、ということです。
※2.5㎜以下の革・布等の場合は(主に靴やバッグの内装等)、PW-6とLPW-6という、いわゆる“ポストミシン”も2台ありますので、こちらを使っていただいてます。詳しくは【カテゴリー】の“靴作りの基本”で掲載。

あと上の2台の違いですが、TE-6Bの方は“足踏み式”となっており(つまりモーター式ではなく足で“キーコキーコ”と踏みながら進める昔ながらのミシンです。)、TE-5の方はモーター式(クラッチモーター)となっております。

後者(TE-5)の“クラッチモーター”についてはスピードの調節がやや難しいということもあり、家庭用のミシン等の扱いに慣れている方は、こちらの方が使いやすい、という方もいますが、前者(TE-6B)の方が比較的ゆっくりと“運針”できるので、ミシンに慣れていない方はこちらからの方が馴染みやすいと思います。
あとは写真にもあります通り、返し縫いがレバーひとつで簡単なのもTE-6Bの方ですので、初心者の方は殆どがこちらからスタートしている状況です。

尚、上糸のセッティングについては、2台ともほぼ同じですので、TE-6Bの写真で説明していきます。

まず、“糸置き”に糸を置きます。

腕ミシンTE-6B 糸置き

腕ミシンTE-6B 糸置き


このミシンで扱う糸の太さは主に#20と#8がメインとなります。ごく稀に#5も使います。
腕ミシンTE-6B 上糸の通し方

腕ミシンTE-6B 上糸の通し方


糸が自然に出てくるように、まずはこの写真のように糸置き真上の針金に糸を引っ掛けます。
※1回だけですとたまに外れたりするので針金に2周させた方が安定します。

更にミシン本体の上に立っている“アンテナ”部分にこのように通します。(基本右から左、上から下へです。)

腕ミシンTE-6B 上糸の通し方

腕ミシンTE-6B 上糸の通し方


そしてミシン左側に向かって糸を引き、写真のように糸を通します。
尚6Bの方には予備の上糸調節つまみが付いています。※太い糸(#5)を使うときは本来の上糸調節だけでは弱いので、ダブルで糸に張力(テンション)を掛けられるようついています。今回はここは通っていません。

腕ミシンTE-6B上糸通し方 上糸テンション


こちらはミシン本体の左側面から見た写真です。
やはり、赤い矢印のように糸を通していきますが、ここが重要なポイントです。
家庭用等、どのミシンもそうですが、糸には必ずある程度の“テンション(張力)”を掛ける必要があります。
そのテンションを掛けるのがこの部分です。
腕ミシンTE-6B上糸通し方 アーム ピンピン

腕ミシンTE-6B上糸通し方 アーム ピンピン


こちらが更に詳しい写真。

2枚の銀色の皿のようなものが重なり合っていて、その間に糸をしっかりと食い込ませます。皿の手前には“渦巻バネ”が付いており、手前のネジを回すことによって“テンション”を調節する、という仕組みです。

しっかりと糸をかませたら、アームの上に糸を引っ掛け、その後“糸とりバネ”と呼ばれる部分に糸を掛けます。

その後は“天秤”(ペダルを踏むと上下に動くアーム)に糸を掛け・・、※スミマセン、写真上部で見切れています・・・。

腕ミシンTE-6B上糸通し方 針棒糸掛け


最後に“針棒糸掛け”に通して、上糸のセッティングは終了となります。

最近のコンピューター等が内蔵されている家庭用ミシンは、
“ここに糸を置いて、ここに引っ掛けるだけで誰でもすぐに使えますっ!”

なんていうものが多い中、やはり工業用でしかも革用のミシンですので多少複雑ではありますが、数回で慣れると思います。
ただ、どうしても皆さん“縫う”ということに専念しすぎて、最も需要なセッティングを軽視している傾向があるので、ここで詳しく書かせていただきました。
※初心者の方は教室での練習後に、またある程度慣れた方でも他の作業でミシンの扱いがしばらくぶり、といった方も、教室以外の場所で復習がてらザッと読んでいただければ、と思います。

正直、ステッチが綺麗か綺麗ではないか、というのは、上手い人もそうでない人も殆ど差はないと思います。
それよりも、正しくセッティングできているかどうかが、大きな失敗を防ぐ最大の方法だと思いますので、是非ご参考にしていただければ幸いです。
※尚、腕ミシン下糸編はこちらをご覧ください。➭かばんづくりの基本③~腕ミシン“TE-5&TE-6”【下糸編】

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